撮影のポイント
SHOOTING POINTS
商品撮影
商品撮影のポイント
PRODUCT
POINT
1
目的や媒体を明確にする
商品の使用イメージを伝えるのか、商品のスペックを伝えるのか、目的や使う媒体によって、撮影のコンセプトや構図は変わります。また、紙媒体で使用するのか、Webで使用するのかによって、納品データの形式も異なります。撮影前にどのような目的で、どんな媒体に商品写真を使うのかを明確にすることが大切です。
POINT
2
ターゲットを設定して演出を考える
男性・女性・子供・シニア・ママなど、ターゲットによって「刺さるイメージ」は異なります。「誰に」「どんな」イメージを伝えたいかを設定した上で、具体的な演出を検討し、撮影小物やライティングを準備します。
POINT
3
適切な機材を準備する
商品撮影に必要な機材を用意します。下記の機材を基本とし、撮影する商品によって調整を行います。基本的な撮影機材は以下です。
デジタル一眼レフ | 商品写真は、より美しく見せるためのレタッチや、使用媒体に合わせたトリミングが発生する可能性があります。画像データが大きく、レタッチやトリミングも可能なデジタル一眼レフでの撮影が基本です。 |
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標準ズームレンズ | ズームレンズは歪みが少なく、商品の形を正確に表現できます。また遠くから撮影することで、反射する商品の映り込みを防げます。 |
マクロレンズ | アクサセリーのような小さな商品の撮影や、商品のロゴマークに寄りたい時に使用します。 |
三脚 | フラッシュ撮影を原則行わない商品撮影では、スローシャッターでの撮影が多いため、手ブレ防止の三脚が必須です。また、商品の角度やライティングの設定を保つためにも、三脚での撮影が基本とされています。 |
ライト・ディフューザー | 光は商品の印象を大きく左右します。ライトや光の硬さを調整するディフューザーを使って、撮影する商品や作りたいイメージに沿ったライティングを行います。 |
レフ板 | 光を反射させて商品の影を飛ばしたり、光に強弱をつけて商品の立体感を表現するために使用します。 |
背景 | 商品をきれいに見せるために、背景をセッティングします。基本の背景を白とし、引き出したいイメージによって色や素材を変えます。 |
一眼レフの設定
商品撮影の本質は、実物に近いイメージを美しく撮影することです。実際の色味を表現するために、ホワイトバランスはマニュアルで設定。商品を明るく、美しく撮影するために、撮影モードは「マニュアル」か「絞り優先」を選択し、ISO感度は100程度に抑えてF値とシャッタースピードで明るさを調整します。
撮影モード | 「マニュアル」か「絞り優先」が基本 |
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ISO感度 | 100程度 |
F値 | 8〜16(ピントの範囲に応じて) |
シャッタースピード | スローシャッター |
ホワイトバランス | マニュアル |
POINT
4
目的に沿ったライティングを行う
「『高級感』や『明るさ』などのイメージを作る」、「商品の立体感を出す」、「正確な色味を表現する」。これらはいずれも、光の効果によって実現します。目的によって、照明を使い分け、適切なライティングを行うことが重要です。
照明の種類
自然光 | 自然光で撮影した写真は、ナチュラルな印象に仕上がります。太陽光を利用して撮る場合、商品の横から光を当て、影が出すぎないようレフ板で光を反射させるなどの方法をとります。自然光は時間によって光の強さや色が変化するため、こまめにセッティングを調整します。 |
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ライト | 定常光、ストロボなど、撮影に適したライティングを選択します。実物に近い色味を表現するためには、光源の色に注意が必要です。黄味がかった色に写る「電球色」や、青みがかった色に写る「昼光色」を避け、自然光に近い「昼白色」を選択します。 |
POINT
5
背景を使い分ける
背景は、商品を美しく見せるほか、商品のイメージも左右します。商品を明るく、見やすく演出したい場合はテクスチャーのない白い背景、高級感を演出したい場合はドレープを作った布など、目的や狙うイメージによって背景を使い分けましょう。
1
紙
特別な意図がない場合は、テクスチャーのない紙を使用します。色は商品の色に干渉しない白背景を基本とし、狙いたいイメージや商品の色・形状によって黒やグレーなどを使い分けます。
2
布
サテン調の布は、ドレープで柔らかな陰影を作ることで、高級感や上品な印象を演出できます。テクスチャーが強く出る生成りの布は、食品などでナチュラルなイメージを出したい場合に有効です。
3
アクリル板
コスメの瓶やガラス製品など、透明感を引き立てたい商品にはアクリル板を使用します。接地面に商品が反射することで、冷たさや清涼感を狙うことも可能です。
POINT
6
演出を入れて商品の魅力を引き出す
雑貨の使用イメージや、洋服の着用イメージ、テーブルコーディネートなど、商品単体ではなく、演出を入れることによって、ユーザーが生活をイメージしやすい商品写真に仕上がります。
演出を入れる際は、使用する小物が注意を引きすぎないよう、主役である商品を引き立てる構図やピントの調整が必要です。
POINT
7
商品ごとの撮影ポイントを押さえる
撮影する商品によって、セッティングや撮影のポイントは異なります。商品の魅力を引き立てるためのポイントをご紹介します。
1
アクセサリー
宝石や金具部分に指紋や汚れがつかないよう、手袋をつけてセッティングを行います。商品の形が見やすいよう、ホワイトワックスを使用して小物を自立させ、ドレープをつけた布で高級感を演出します。ディフューザーとレフ板で全体に柔らかい光を回し、金属にカメラが映り込まないよう、撮影の角度を調整します。
2
腕時計
プラスチックやワイヤーを入れて自立させ、全体像を見せます。映り込みをなくすため、商品の周りを紙で覆います。白い文字盤の場合は白い紙、黒い文字盤の場合は色を締めるために黒やグレーの紙など、商品によって覆う紙の色を使い分けるのが基本です。レフ板で光を調整することで、腕時計の立体感が表現できます。
3
コスメ
容器の形状や色をストレートに表現する場合は、アクリル板や白い背景を使用し、商品を白い紙で覆って反射を抑えます。布背景やライティングを使って高級感を演出したり、テクスチャーを見せたりと、目的に沿った演出方法を検討します。
4
洋服
洋服の形を美しく見せるためにはトルソー、着ているシーンをイメージさせるためにはモデル着用、素材感や小物との相性を見せるには平置きなど、目的によって演出方法を変えます。平置きの場合は自然なシワや膨らみを演出するのがポイント。左上から光を柔らかく当てることで、素材感が伝わる写真になります。
POINT
8
納品データ形式
完成した写真を納品するにあたって、その目的や媒体に合わせた解像度や画像データ形式に変換し、記録メディアやオンラインストレージといった受け渡し方法も確認しておくことが大切です。
また他媒体での二次使用の可能性や、著作権や肖像権など、写真の使用条件を明確にしておくことも重要です。
主なデータ形式と特徴
JPEG | Web用途に適した形式、フルカラーでデータ容量が少ない。 |
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PNG | Web用途に適した形式、フルカラーで透明や半透明といった表現が可能。 |
TIFF | 印刷用途に適した形式、画質の劣化がなく、高い解像度が必要な場合に使われる。 |
PSD | Adobe Photoshopで扱える形式、レイヤー情報を保持していて、加工・修正が容易に行える。 |
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